確信犯とは、「政治的・思想的・宗教的信念に基づいて自己の行為を正当と確信して行われる犯罪」(高橋和之・伊藤眞・小早川光郎・能見善久・山口厚編『法律学小辞典』第5版、有斐閣、2016年、p.112)をいう。
つまり、法律上違法であり、刑罰が科せられるような悪い行為であるとされていることは認識しているが、それは法律が間違っているのであって、自己の行為こそが正当なものであると信じて行われる犯罪ということができる。
したがって、例えば、
- 政府要人を逆恨みして殺害した場合
何等の思想・信条等に基づかず、また、殺人という悪いことを悪いこととして行っているので、確信犯には当たらない。 - 政府要人を国益のために殺害した場合
殺人は犯罪行為であると分かっていながら、国益を図る正当な行為と信じて行っているので、確信犯に当たる。
ということになる。
現行刑法上、確信犯とされているものとしては、内乱罪(刑法77条)がある。
刑法77条(内乱)
国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
一 首謀者は、死刑又は無期禁錮に処する。
二 謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は3年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は1年以上10年以下の禁錮に処する。
三 付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、3年以下の禁錮に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。ただし、同項第3号に規定する者については、この限りでない。